黄金印章交換担当官アイシス
「これが
ヴェリカ集会所です♪」
白金印章交換担当官ミーシャ
「ま、悪くないわね…………」
集会所管理人バイロン
「どうかね?
このスイーツは」
白銀印章交換担当官セブリル
「ゥンまああーいっ!」
黄金印章交換担当官アイシス
「すっごいおいしいー♪」
白金印章交換担当官ミーシャ
「これは………!」
集会所事務員サラミア
「…………!」
青銅印章交換担当官ショリン
「こんなの食べた事ないわ…
これは一体どこの名産かしら?」
集会所管理人バイロン
「これはな、
エルフ族に伝わる銘菓。
エルヴンワッフルというものだ。」
集会所管理人バイロン
「今の時代、
これを食すにはなかなか苦労するぞ。」
白銀印章交換担当官セブリル
「ヤバいよヤバいよー!
こんなにウマいの初めて!」
集会所管理人バイロン
「ハッハッハ!
これほどまでに喜ばれるなら
提供した甲斐もあるものだ!」
集会所管理人バイロン
「ロミナはこれが好きでな。
集会所に集う子供たちと共に
よく食べていたのを
昨日の事のように思い出すよ。」
白銀印章交換担当官セブリル
「そっかあー
オレも行きたかったなー」
集会所管理人バイロン
「人が人生において、
出会う人が誰かによって
価値観や考え方やその生き様に
大きく影響を与えていくものだ。」
集会所管理人バイロン
「もしセブリルも
子供の頃にロミナのような者に
巡り会えていたなら、
人生変わっていたのかもな。」
白銀印章交換担当官セブリル
「こんだけうまいの食えるなら
オレどんだけ
人生変えてもいいぜー」
黄金印章交換担当官アイシス
「ぷぷっ♪」
白金印章交換担当官ミーシャ
「調子いいんだから……」
集会所管理人バイロン
「よし、これにて
ティータイムを終了とする。
各自持ち場につき、
勤労へと勤しむように。」
黄金印章交換担当官アイシス
「ハーイ♪」
白金印章交換担当官ミーシャ
「……エルヴンワッフルね。
とてもおいしかったのだけど、
それだけじゃなくて…
何かとても
懐かしい気持ちになれたわ。」
黄金印章交換担当官アイシス
「だってハイエルフだもん♪
故郷の味ってかんじなんだよー
きっとね♪」
白金印章交換担当官ミーシャ
「ふふっ
そうかもしれないわね」
集会所管理人バイロン
(さて……)
集会所管理人バイロン
(各自ともに
会議へログインされたし、っと。)
カチャカチャカチャ…
ッターーーーーーーン!
=====会議ログイン完了=====
集会所管理人バイロン
(各自ログイン完了したな。
……さて、
ロミナとバタハルの
一食触発の睨み合い。
バタハルに打ち据えられた
子供の安否、
そして
実質的な損害を出した原因となった
ロミナの賠償や処分の行く末だな。)
集会所管理人バイロン
(数分にも及んだ睨み合いは、
ヴェリカ騎士団の訪れにより終焉する。
事態を重く見たのだろう、
一介の警備兵ではなく
騎士団が訪れる事になったようだ。)
集会所管理人バイロン
(そうして、
ワシは事の顛末を説明する事となる。
バタハルがヴェリカ集会所で受注し
足早に立ち去ろうとした際に
集会所に集っていた子供のうちの
一人にぶつかってしまった事。)
集会所管理人バイロン
(その際、
依頼物である結晶体を落とし、
割ってしまった事。)
集会所管理人バイロン
(それに激怒し、
その子供を打ち据え、骨折させた事。
それにロミナは激怒し、
子供に対する謝罪を求めた事。)
集会所管理人バイロン
(一方、バタハルは一歩も譲らず
子供がこうして集まるようになった
一番の要因であるロミナに
今回の責任はあるのだとして、
今回の依頼物の損失から見込まれる、
被害額の想定を支払う事を突きつけた。
一方、ロミナは
処罰はいかようにも受けるが、
その前に子供に謝罪する事を要求した。)
集会所管理人バイロン
(アーマンは、誇りと尊厳の為なら
道理すら曲げる種族と言われている。
謝罪する事など、
しかも年端もいかぬ子供に対してなど、
するわけもないのだろうな。
しかも
責任の所在は他にあるとするなら
尚のことであろう…)
集会所管理人バイロン
(ひとまず、
大怪我を負った子供は病院へ。
バタハルとロミナは拘束。)
白銀印章交換担当官セブリル
(拘束されちゃうんだ……)
集会所管理人バイロン
(バタハルとロミナに対しては
公正な処分を求めるとして、
ワシは騎士団と司令部に嘆願し、
その行く末を見守ることとした。)
集会所管理人バイロン
(ロミナを欠いた集会所は、
さながら灯のない楼閣のようだ。
子供も当然、集う事はなく
慌しい喧騒と事務的なやりとりが
この集会所に落ちていく。)
集会所事務員サラミア
(………………)
集会所管理人バイロン
(当日の業務時間は終わりを迎え、
我々は帰宅することとなり、
それから翌日の業務時間までは
ロミナと手負いの子供の事が
頭から離れる事はなかった。)
集会所管理人バイロン
(あまり眠れなかったな…
それは皆も同様で、
気にかけていた様子だった。)
集会所管理人バイロン
(翌日、
業務開始時間となった時…)
青銅印章交換担当官ショリン
(………………)
白銀印章交換担当官セブリル
(………………)
集会所管理人バイロン
(ロミナは通勤してきたよ。
いつも通り、
何も変わらず、な。)
白銀印章交換担当官セブリル
(よかったー)
集会所管理人バイロン
(ワシは事の顛末を聞いた。
話によると、
ロミナは特に処罰もなく、
ヴェリカがその損害を補填。
子供たちは従来通りに
ここへ集ってもいい事とはなったが
その管理は厳重にと定めた)
集会所管理人バイロン
(つまり、
ヴェリカ集会所の一角を
柵で囲いそこに居させる、と。)
青銅印章交換担当官ショリン
(ヴェリカらしいわね。
頭の硬い
どこかの魔法国家じゃ
こうはいかないわ。)
集会所管理人バイロン
(そしてバタハル。
彼もまた何のお咎めもなく
従来通りに依頼を達成し
報酬の為に駆け回る日々を迎える)
白銀印章交換担当官セブリル
(ハアァ!?
子供殴って
大怪我させたんだろ!?
なんだそりゃ!!
わけわかんねー!!!)
集会所管理人バイロン
(……ヴェリカは
誰もが幸福と大金を得る資格があり
そこに種族などは関係ない。
どんな者でも、
高い能力を持ち合わせ、
それを運と努力で結び
獲得した結果次第で
いかようにも成れる……)
黄金印章交換担当官アイシス
(………………)
集会所管理人バイロン
(つまり、どんな者でも
このヴェリカにて
幸福と大金を得ようと努力する、
その志そのものが
どの律よりも優先される)
青銅印章交換担当官ショリン
(………………)
集会所管理人バイロン
(そうして活動する者は
あらゆる面で認められ…
ヴェリカの法の下に庇護される。)
集会所事務員サラミア
(………………)
集会所管理人バイロン
(それがたとえ、
罪もない子供を私情で殴りつけ、
大怪我を負わせようとも、な)
白銀印章交換担当官セブリル
「おかしくね!?」
白金印章交換担当官ミーシャ
「ッ!?」
白銀印章交換担当官セブリル
「あ…………」
白金印章交換担当官ミーシャ
「な、何?」
白銀印章交換担当官セブリル
「いや、あははー
ごめん、なんでもない…」
白金印章交換担当官ミーシャ
「そう……
ならいいけど………」
白金印章交換担当官ミーシャ
(………心配になるわ…)
集会所管理人バイロン
(…………)
集会所事務員サラミア
(……今のは免除してあげて。)
集会所管理人バイロン
(………気をつけるように!)
白銀印章交換担当官セブリル
(ごめんなさい……)
白銀印章交換担当官セブリル
(でもさー!!
おかしくね!?
なんかおかしくね!?
そんなの
絶対おかしいって!!)
青銅印章交換担当官ショリン
(………………)
集会所管理人バイロン
(……ああそうだとも。
法律はそのものが正しさであり、
それが元に
その社会の善悪が決定される。
法律が決定されているならば、
人はその中から自身の思想や、
自身が獲得したいと思う、
都合の良いものを支持していく。)
集会所管理人バイロン
(法律をもとに、人が
自身の倫理観を育み
より善く変えていくのではなく
人にとって都合の良いものが
法律的観点からの悪ではないのなら
人はどこまでも
非道になれるという事。)
集会所管理人バイロン
(法律にて
定められていようとなかろうと、
やってはいけない事は
普通に考えてわかるだろう?
という事なのだがな…
ルールに従っているのだから
文句言われる筋合いは無い、
といったところなのだろう。)
集会所管理人バイロン
(このように、
法律に準拠しているとしても
それが善人なのかといえば、
その実、
悪人である事も少なくない。
秩序と混沌と、
善と悪は別に括られるもの。
秩序を悪たる心で用いるならば
バタハルのような、
粗暴で自己中心的な悪人となる。)
集会所管理人バイロン
(法律はそれ自体が正しいが、
それを扱うのも、
それが適用されるのも、
それを作り出したのも……)
集会所管理人バイロン
(あくまでも人間なのだ。
正しさだけで物事を観ていては、
正しいから何をやってもいい、
とする人間になっていくし、
ルールに則っていれば
それが何であろうと正しいとする、
見ているようで何も観ていない、
そんな盲目的な人間になる。)
集会所管理人バイロン
(ガチ勢は
そんな盲目的な人間の総称だ。
効率さえ挙げていれば正しく、
見返りを数値化し優劣をつける。
自身にとって
都合のいいルールを信奉し、
正しさを盾に声高に主張し
他者を糾弾し、排除していく。
それが単なる
個人的な私怨だとしても、
法律がそうなってるのだから
間違ってるのを正した『だけ』だ。
だから『悪くない』、とな。)
白銀印章交換担当官セブリル
(なんかよくわかんないけど、
ルール押し付けてくんのは
イラっとくるのはわかるな)
青銅印章交換担当官ショリン
(…………………)
集会所管理人バイロン
(人間は、
正しさという
煌びやかな 光の裏から
牙を向いて潜む悪魔に
その魂を抜かれぬように
常に自身の道徳心、倫理観を養い、
例え現世に秩序が失われたとしても
そんな混沌の中に有っても
自身に正しさの本質を見出し、
人として高潔で美しく在れるよう
日々精進していかねばならない。 )
集会所管理人バイロン
(人としての本質的な強さ。
それは、奇しくも
人間にしか成し得ない事なのだ。)
集会所管理人バイロン
(伝承や秘伝を継承する際、
そのままを写本したり、
記憶し伝えるだけでは
機械でもできる、と言ったが…
バラカの中には、
一字一句、違うこと無く写せば
それで良いと勘違いしているバラカが
非常に多い事も付け加えておく。)
集会所管理人バイロン
(しかしそれは、
伝承や秘伝というものは
文字としてまさにそこに有り、
それ以外に存在しないからこそ、
その伝承や秘伝に記載される
文字の羅列が絶対のルールになり、
それに添ってさえいれば、
その写本は絶対的に正しい事になるし
そうして継承を行ったバラカは
一字一句違わず
継承を実行した事には、なる。
その写本を見た誰もが、
それを間違いとは見ないだろう。
…しかしそれではダメなのだ。)
青銅印章交換担当官ショリン
(正確に写す事の
どこが間違っているのですか?)
集会所管理人バイロン
(…正確に写本するのはもちろんだが、
その伝承や秘伝が何を意味し、
その時代背景において何に働きかけ
一体何を成し得たのか。
それに携わった人間たちは
一体どのような想いでそれを適用し
そしてこの伝承を書き上げたのか。)
集会所管理人バイロン
(これは、
文字だけ正確に写す事こそ正しく、
一字一句違わず移し替える事こそ
継承のルールであり、
ルールを正確に守ってさえいれば
ただそれだけで良いとする者には
到底理解し得ないことだ。)
集会所管理人バイロン
(法律に従う事は正義だが、
それにさえ従っていれば
子供を殴りつけてもいいのか?)
正しさの魔力に魅入られ、
その魂を抜かれている人間とは、
正確に写本してるだけの
ただそれだけのようなものだと、
今はそれだけ理解頂ければ良い。)
白銀印章交換担当官セブリル
(うんわかったー)
青銅印章交換担当官ショリン
(…………………)
集会所管理人バイロン
(さて、
ロミナのその後の事だが……)
集会所管理人バイロン
「っと、
さて、ひとまず
3時のおやつといこうじゃないか」
白銀印章交換担当官セブリル
「賛成さんせーい!」
黄金印章交換担当官アイシス
「いいねいいねー♪」
青銅印章交換担当官ショリン
「……いただきます。」
白金印章交換担当官ミーシャ
「あら楽しみ」
白銀印章交換担当官セブリル
「おおっ!
これはまたおいしそう…」
集会所管理人バイロン
「うむ。
創業メイジ36年。
ごま蜜団子というお菓子だ。」
集会所管理人バイロン
「セブリルは初めてのようだから
食べ方を教える。
これは、
決して前歯で
噛んではならない。
一口目を口の奥で…
奥歯で噛むのだ。」
白銀印章交換担当官セブリル
「うんわかったー!」
ヴチュウウウーーッッ
集会所管理人バイロン
「あああーっ!!
だから奥歯で噛めってw」
集会所管理人バイロン
「蜜がいっぱいに詰め込まれてるから
前歯で噛むと
ヴチュウウウーーッッと
蜜が飛び出ちまうんだ!」
黄金印章交換担当官アイシス
「ぷぷっ♪
私もやったわー♪」
集会所管理人バイロン
「もう1個いくか?
いくか?いくか??」
白銀印章交換担当官セブリル
「うんうん、うんうん」
集会所管理人バイロン
「絶対に奥歯だぞ。
奥歯。
前歯で噛んだらだめだからな。」
白銀印章交換担当官セブリル
「うんうん」
ヴッチュウンンーーンッ
集会所管理人バイロン
「だーかーら!!」
白銀印章交換担当官セブリル
「何だこれッ!?
ンマイなぁぁあぁぁーーッ」
きゃあああーーーッ
アハハハハハハ
話を聞いとらんのかッ!
セブリル!かかったじゃない!
ンマイなあああッ!!
ヴッチュウンンーーンッ
だーかーらー!!
アハハハハハハハハハ
ワイ ワイ
ガヤ ガヤ
集会所事務員サラミア
「……おいしい」
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⇒アスミンとたくさんあるのです~
ぽちっとしてくれたおかげで
3位にうあー
みなさんありがとなのです!