エルシーク・ホワイトリバー
「何見てるの?」
ロミナ・グレングリーン
「あ!これはね、
春風の丘っていう所。」
エルシーク・ホワイトリバー
「へー、綺麗な所だね」
ロミナ・グレングリーン
「ほんとね!」
ロミナ・グレングリーン
「場所はエルフしか
知らないっていわれてるの。
行ってみたいんだけどなー……」
エルシーク・ホワイトリバー
「ダメだよ。危ないから。」
ロミナ・グレングリーン
「えっとね、
春風の丘の最奥部でしか
咲かない花があって……」
ロミナ・グレングリーン
「春風草っていって、ね……
…そのー………」
エルシーク・ホワイトリバー
「?」
エルシーク・ホワイトリバー
「……ロミナって、
春に咲く花ってかんじがする
んーと、
ほら、この花みたいな感じ」
ロミナ・グレングリーン
「さすがディバインエルフ!
春風草ってこれだよ!」
エルシーク・ホワイトリバー
「………ほんと綺麗な花。
ロミナに似合うと思う」
ロミナ・グレングリーン
「………………」
エルシーク・ホワイトリバー
「………………」
ロミナ・グレングリーン
エルシーク・ホワイトリバー
「あのっ」
「あのさ」
ロミナ・グレングリーン
「あっ、……なに?」
エルシーク・ホワイトリバー
「長老ニミュエ様は
古代エルフとも縁の深い方だから
もしかしたら知ってるかも。
聞いてこようか?」
ロミナ・グレングリーン
「えっ!?
ほんと!?!?」
エルシーク・ホワイトリバー
「あ、ああ、ほんとだけど……」
ロミナ・グレングリーン
「ありがとう………」
(すごい喜びようだったなあ)
長老ニミュエ・ローヘン
「あら、ご機嫌麗しゅう。
ディバインエルフ様。」
エルシーク・ホワイトリバー
「あ、ニミュエ様。
ひとつお伺いしたい事が
あるのですが……」
長老ニミュエ・ローヘン
「えっ?
ディバインエルフ様が
私などに質問されるなんて……
珍しいですわね。ふふっ」
長老ニミュエ・ローヘン
「……あっ、なんでしょう?」
エルシーク・ホワイトリバー
「…エルフに伝わるという
一年中、
美しく花が咲き誇る地が
あると聞いたのですが………」
長老ニミュエ・ローヘン
「ええ、存じ上げておりますわ」
エルシーク・ホワイトリバー
「さすがはニミュエ様!
……直接、見聞に向かい
いくつか取って」
長老ニミュエ・ローヘン
「えっ!?」
エルシーク・ホワイトリバー
「えっ?」
長老ニミュエ・ローヘン
「……こほん。
……そうなのですか。
……その地はアルン大陸の
ポポリア領最南端に座す
暁の森の更に奥地。
小高い丘の
更に奥地にあると聞きます。
私も直接出向いた事が
あるわけではないのですが……」
エルシーク・ホワイトリバー
「わかった!ありがとう!」
長老ニミュエ・ローヘン
「あっ!お待ちを………!
……ただし、
ひとつ注意点があります……」
エルシーク・ホワイトリバー
「なんでしょう?」
長老ニミュエ・ローヘン
「その春風の丘は
ポポリア領最南端に座しています。
注意点なのですが……」
長老ニミュエ・ローヘン
「ポポリア領へは、
ヴェリカ東から
直接進入可能な道ではなく
ヴェリカ南から
ヴィアアウレウム領の
リカノール平野へ出ていただき、
東端にある共同牧場事務所から
南東の山を登り、
そこから南の海辺を伝い、
ポポリア領南端より
お進みください。」
長老ニミュエ・ローヘン
「強力な魔物が潜んでおりますから」
エルシーク・ホワイトリバー
「大丈夫だよ。
ディバインエルフなんだから」
長老ニミュエ・ローヘン
「なりませぬ!!」
エルシーク・ホワイトリバー
「……はい、失礼しました…
僕の身を案じての助言、
ありがたく頂戴しますね。
ニミュエ様!!」
エルシーク・ホワイトリバー
「それじゃ行って来ます!」
ダッ
長老ニミュエ・ローヘン
「エルシーク様………」
エルシーク・ホワイトリバー
(ヴェリカは
あのヒューマンの都市だし
ちょっと怖いかな………
でも、ここ飛ばないと
アルン大陸には………)
エルシーク・ホワイトリバー
「あ、
やっぱりやめておきます。
すみません」
移動管理人
「はい、承知しました。」
エルシーク・ホワイトリバー
(輸送でいこう)
エルシーク・ホワイトリバー
(やっと
リカノール平野か………
でもまだまだ!!)
エルシーク・ホワイトリバー
(…すごく綺麗なところなんだな……
シャラ南部大陸以外に
こんな風景があったなんて……)
エルシーク・ホワイトリバー
(ここがポポリア領……
ポラ・エリーヌの南端……)
エルシーク・ホワイトリバー
(暁の森………)
エルシーク・ホワイトリバー
「ふぅ………」
エルシーク・ホワイトリバー
(ん、景色が変わったぞ……?)
エルシーク・ホワイトリバー
(ここが…………)
エルシーク・ホワイトリバー
「春風の丘………」
エルシーク・ホワイトリバー
「…………春風の丘。
エルフに伝わる土地に
一年中様々な花が
咲く地があるという話は
本当だったんだ……」
エルシーク・ホワイトリバー
(何か不思議な空気を感じる。
エルフに伝わる土地だからかな)
エルシーク・ホワイトリバー
(行き止まり?)
エルシーク・ホワイトリバー
(いや、左側が続いているか)
エルシーク・ホワイトリバー
「ここは…………!!」
エルシーク・ホワイトリバー
「………………」
エルシーク・ホワイトリバー
「………すごい……」
エルシーク・ホワイトリバー
(春風草………
すごく綺麗な花……
写真じゃわからないね…
春風のような何かを感じる……)
エルシーク・ホワイトリバー
(ロミナみたいだな)
エルシーク・ホワイトリバー
(………………)
エルシーク・ホワイトリバー
(ロミナ喜ぶかな………)
エルシーク・ホワイトリバー
「ロミナ!」
ロミナ・グレングリーン
「きゃっ!?
なになに?どうしたの?」
エルシーク・ホワイトリバー
「………これ。」
ロミナ・グレングリーン
「………これって!!!」
ロミナ・グレングリーン
「本当に
とってきちゃったの!?」
エルシーク・ホワイトリバー
「本当にとってきちゃったよ?」
ロミナ・グレングリーン
「………………」
エルシーク・ホワイトリバー
「………………?」
ロミナ・グレングリーン
「エルシーク………」
ロミナ・グレングリーン
「わたし、うれしいよ………」
エルシーク・ホワイトリバー
「ロミナ…………」
ロミナ・グレングリーン
「エルシーク…………」
エルシーク・ホワイトリバー
(僕はね。
ロミナが喜んでくれれば
それだけで嬉しいんだ)
エルシーク・ホワイトリバー
「今日はどこの都市の写真?」
ロミナ・グレングリーン
「………あっ!?
…びっくりしたー……
いきなり後ろに立たないでよー」
エルシーク・ホワイトリバー
「ごめんごめん」
ロミナ・グレングリーン
「…ここは、
荒凪古港っていう港」
エルシーク・ホワイトリバー
「……綺麗な港だね」
ロミナ・グレングリーン
「綺麗でしょ?」
エルシーク・ホワイトリバー
「うん」
ロミナ・グレングリーン
「ふふっ
海っていうのがあってね……」
ロミナ・グレングリーン
「天気のいい日は、
水着になって海を泳いだり
砂浜でボール遊びしたり
砂でお城作ったり
海の家っていうお店で
ジュース飲んだりパフェ食べたり
浜辺に敷いたシートの上に寝て
日焼けしたりするんだってー」
エルシーク・ホワイトリバー
「そうなんだ」
エルシーク・ホワイトリバー
「……なんかこういう話する時
本当に嬉しそうに話すよね」
ロミナ・グレングリーン
「…えへへー
………行ってみたいなー…」
エルシーク・ホワイトリバー
「行けるよ」
ロミナ・グレングリーン
「えー?だってここは……」
エルシーク・ホワイトリバー
(僕が連れてってあげるから)
エルシーク・ホワイトリバー
「………………」
ロミナ・グレングリーン
「どしたの?」
エルシーク・ホワイトリバー
「………………」
エルシーク・ホワイトリバー
「ほんと、綺麗だな……」
ロミナ・グレングリーン
「………………」
エルシーク・ホワイトリバー
「………………」
ロミナ・グレングリーン
「あの」
エルシーク・ホワイトリバー
「あ、うん」
ロミナ・グレングリーン
「ディバインエルフって、
人の心が読めるんだよね……?」
エルシーク・ホワイトリバー
「大体合ってるよ」
エルシーク・ホワイトリバー
(光らないと読めないけどね……)
ロミナ・グレングリーン
「………………そっか!」
エルシーク・ホワイトリバー
「……なになに?」
ロミナ・グレングリーン
「なんでもなーい!
ばいばーい」
エルシーク・ホワイトリバー
「ロミナ!
ちょっと待ってよー!
どうしたの~?」
ロミナ・グレングリーン
「しらなーい」
エルシーク・ホワイトリバー
「なんだっていうんだ……」
長老ニミュエ・ローヘン
「貴方はディバインエルフ。
その宿業に付き添うには
あの平娘では
あまりにも荷が重過ぎます。」
長老ニミュエ・ローヘン
「外界には
どのような邪悪が潜むか
わからないのですよ?
その中で、
エルシーク様ご自身はもちろんの事、
その上であの平娘を
守れるとでもお思いですか?」
長老ニミュエ・ローヘン
「私は、
貴方の事はもちろんですが
あのロミナという娘の事も
案じておるのですよ………」
長老ニミュエ・ローヘン
「それに
大長老様の家系に加われば
ここアルレマンシアでの
優雅で安全な生活は
約束されたも同然です」
長老ニミュエ・ローヘン
「あの娘にとっても、
貴方様にとっても、
この選択が最も
お互いがお互いの幸福を
第一に在れる選択
なのではないですか?」
長老ニミュエ・ローヘン
「……エルシーク様。
私は貴方に
幸せになってもらいたいのです。
ロミナの幸せは、
エルシーク様の幸せでも
あるのでしょう?」
エルシーク・ホワイトリバー
「………………」
エルシーク・ホワイトリバー
「ロミナ…………」
ロミナ・グレングリーン
「あの、私…………
結婚する事になったの。」
エルシーク・ホワイトリバー
「………そうか」
ロミナ・グレングリーン
「これからは、
大長老様のもとで
アルレマンシアの秩序を
管理する側になるから………」
エルシーク・ホワイトリバー
「おめでとう。
君なら十分に務まるよ」
ロミナ・グレングリーン
「うん」
エルシーク・ホワイトリバー
「………………」
ロミナ・グレングリーン
「………………」
エルシーク・ホワイトリバー
(…………僕と一緒にここから…)
ロミナ・グレングリーン
「………あ、のっ!」
エルシーク・ホワイトリバー
「…責務が押し迫っていてね。
これで失礼するよ。」
ロミナ・グレングリーン
「………あ、うん。」
エルシーク・ホワイトリバー
「………ロミナ。」
ロミナ・グレングリーン
「えっ!?………何???」
エルシーク・ホワイトリバー
「ディバインエルフの名のもとに
君の御魂とその未来に
光の加護と幸多からん事を願う」
ロミナ・グレングリーン
「…………うん……」
ロミナ・グレングリーン
「ありがとう……」
エルシーク・ホワイトリバー
(…………愛してる……)
エルシーク・ホワイトリバー
(…ロミナ………)
ロミナ・シルバーレイン
「エルシーク!?
あなたこの数年どこに……」
エルシーク・ホワイトリバー
「ディバインエルフとしての
責務で忙しくてね。
アルン大陸をまわってきたよ」
ミーシャ・シルバーレイン
「おじちゃんだれー?」
エルシーク・ホワイトリバー
「おじっ…」
ロミナ・シルバーレイン
「おじちゃんだって……!
あのエルシークも
もうおじさんかあー……」
エルシーク・ホワイトリバー
「ちょっと冗談きついよ……
数年ぶりに会えたってのに……」
ロミナ・シルバーレイン
「うふふ、ごめんなさい!
…………その、」
ロミナ・シルバーレイン
「なんていうか………」
ロミナ・シルバーレイン
「………嬉しくって」
エルシーク・ホワイトリバー
(他の男と結婚して
子供作ってるのに……
何が嬉しいんだよっ!!)
エルシーク・ホワイトリバー
「ふざけるな!
バカな冗談はよしてくれ!」
ダッ
エルシーク・ホワイトリバー
「僕は、
ディバインエルフとして
生まれてきて
よかったと思ってるよ。
アルレマンシアに居を構えながら
こうして外界を旅出来る。
それに、」
ロミナ・シルバーレイン
「心も読めるから?」
エルシーク・ホワイトリバー
「………………」
エルシーク・ホワイトリバー
「実は、そんなに
人の心を覗き見てるわけじゃないよ
本当に必要な時にしか使わない。
この能力は。」
エルシーク・ホワイトリバー
「あと、まだまだ
完全習熟するに至ってない……
未だに、
人の心を読むまでに至るには
体を光らせなければならない。
こっそりと
人の心を読むにあたって
これは致命的ってやつさ」
エルシーク・ホワイトリバー
「僕は、
ディバインエルフなんて祀られ
アルレマンシアじゃ尊敬と羨望の
眼差しで見られる存在だけど、
その実、
ディバインエルフとしても、」
エルシーク・ホワイトリバー
(男としても………)
ロミナ・シルバーレイン
「………………?」
エルシーク・ホワイトリバー
「…ハイエルフとしても、
中途半端なやつだよ」
ロミナ・シルバーレイン
「………………」
ロミナ・シルバーレイン
「そう、なんだ………」
ロミナ・シルバーレイン
「光らないと」
ロミナ・シルバーレイン
「読めないんだ………」
大長老ベリオン・シルバーレイン
「ファッファッファ……」
エルシーク・ホワイトリバー
「クソッ………!
ロミナ……………!!
僕はなんと無力なんだ……!
ズシャァッ
長老ニミュエ・ローヘン
「………………」
エルシーク・ホワイトリバー
「ロミナ…………」
長老ニミュエ・ローヘン
「……旅立たれるのですね?」
エルシーク・ホワイトリバー
「君には関係の無いことだ」
長老ニミュエ・ローヘン
「大いに関係あります!!」
エルシーク・ホワイトリバー
「……………!?」
長老ニミュエ・ローヘン
「外界は危険なところ。
確かにエルシーク様はお強い。
ですが、
大長老様にはまったく
歯が立たなかったでは
ありませんか…」
エルシーク・ホワイトリバー
「………………」
長老ニミュエ・ローヘン
「例えば、我らが
アルレマンシア総司令官
フレイア・ローヘン様………」
長老ニミュエ・ローヘン
「その人に
我ら三長老が結託し
戦いを挑んだとしても
フレイア様に勝利する事は
決してありませんわ」
エルシーク・ホワイトリバー
「何!?」
長老ニミュエ・ローヘン
「世界は広いのです………
私は確かに、
エルシーク様には
ロミナなどという女のもとに
旅だってほしくはありませんし、
共に暮らしてなど
もってのほか!
それを想像するだけで
………っ……とても………」
長老ニミュエ・ローヘン
「…………ですが!!
…それ以上に、
どこの誰ともわからぬ
強大な力を持つ邪悪に
エルシーク様の命
奪われやしないかと………!!
私の目の届かぬところで
エルシーク様がその命を……!」
長老ニミュエ・ローヘン
「そんなこと…………っ……!」
エルシーク・ホワイトリバー
「ニミュエ様…………」
長老ニミュエ・ローヘン
「エルシーク様………」
エルシーク・ホワイトリバー
「…………ごめん……」
ダッ
ググッ
長老ニミュエ・ローヘン
「お待ちくださいませ………」
エルシーク・ホワイトリバー
「…………放してくれ」
ググッ
長老ニミュエ・ローヘン
「………………」
長老ニミュエ・ローヘン
「ロミナはアルン大陸の
ヴィアアウレウム領……
そのいずこかの市町村に。」
エルシーク・ホワイトリバー
「…………!!!!」
エルシーク・ホワイトリバー
「それは本当か!?」
長老ニミュエ・ローヘン
「………嘘など申しませんわ」
エルシーク・ホワイトリバー
「…………ありがとう!!」
エルシーク・ホワイトリバー
(わざわざ
追放するくらいだから
奥まった地かと思い
海路から進入してみたけど……)
エルシーク・ホワイトリバー
(周辺の村落にも
砂漠の休憩地にもいないか……)
エルシーク・ホワイトリバー
(となると………)
エルシーク・ホワイトリバー
(サボテン村かな………)
エルシーク・ホワイトリバー
(ここにも
居なかったらどうしよう…)
エルシーク・ホワイトリバー
(ま、聞いてみるか)
?貿易商人A
「それで、あ
商人組合長ウォーレン様。
失礼します。」
商人組合長ウォーレン
「帰路にも
一層の注意で臨んでください。」
?貿易商人B
「ありがとうございます。
それでは失礼します」
エルシーク・ホワイトリバー
「失礼します。
お尋ねしたい事が……
ここ最近で
ハイエルフの親子が
引っ越してきませんでしたか?
故郷で良くしていた者で、
久方ぶりに
顔を見に来たのですが…」
商人組合長ウォーレン
「おお、
ようこそお越し下さいました。
ハイエルフの親子なら、
確かに知っていますが……」
商人組合長ウォーレン
「失礼ですが、
その親子の名を
お聞きしてもよろしいですか?」
エルシーク・ホワイトリバー
「名は親がロミナ、
子がミーシャです」
商人組合長ウォーレン
「確認致しました。
念の為、
立会いのもとということで
よろしいでしょうか?
お呼びしてまいりますが…」
エルシーク・ホワイトリバー
「あ、お願いします」
?春風のような声
「………うそ……
そんなことって……!!!」
エルシーク・ホワイトリバー
「ロミナ!!!!!!」
ミーシャ・シルバーレイン
「エルシーク
おにーちゃん!!」
エルシーク・ホワイトリバー
「ああっ!!ミーシャ……
元気そうで本当によかった!!」
エルシーク・ホワイトリバー
「まさかこうして二人に
再び会えるだなんて………」
ロミナ・シルバーレイン
「それは
あたくしのほうが………!
だって」
商人組合長ウォーレン
「確認がとれましたので、
私はこれにて………」
エルシーク・ホワイトリバー
「あ、
ありがとうございました!」
ロミナ・シルバーレイン
「ありがとうございました!」
エルシーク・ホワイトリバー
「ロミナ………
やっと会えた………」
ロミナ・シルバーレイン
「…………だって……
ニミュエ様と……その…」
エルシーク・ホワイトリバー
「………ロミナ…
違うんだ。
あれはニミュエ様が勝手に
言い出している事であって…………」
ロミナ・シルバーレイン
「だって!!」
エルシーク・ホワイトリバー
「………だったら、
なんでこうやって
会いに来てるのかな?」
ミーシャ・シルバーレイン
「ママにあいたいからー!」
ロミナ・シルバーレイン
「………………」
エルシーク・ホワイトリバー
「…………ロミナ……」
ロミナ・シルバーレイン
「………っ……………」
エルシーク・ホワイトリバー
「……ロミナ?」
ロミナ・シルバーレイン
「………っかっ………うぅっ」
ロミナ・シルバーレイン
「ばかあっ!!」
エルシーク・ホワイトリバー
「ロミナ……………」
ミーシャ・シルバーレイン
「おにーちゃんのばかー!」
エルシーク・ホワイトリバー
「そりゃないよー………」
ロミナ・シルバーレイン
「ここに住まないの?」
エルシーク・ホワイトリバー
「うーん、その前に
職に就きたい、かな。」
ロミナ・シルバーレイン
「職?
エルシークが
どこかで働いてるだなんて
想像つかないけど………」
エルシーク・ホワイトリバー
「ヴェリカの適正試験を受ける。」
ロミナ・シルバーレイン
「適正試験?何それ」
エルシーク・ホワイトリバー
「あの時、
ロミナは
嬉しそうに話してたじゃないか
ヴェリカは
女神ヴェリックの庇護を受けて
その規模でいえば
アルレマンシアと並ぶまで
成った都市。
その活気たるや
どこの都市にも
負けないんじゃないかな。」
エルシーク・ホワイトリバー
「僕は、なぜ女神ヴェリックが
自由と謡い秩序も何もない
ヒューマンを庇護したのか。
それを知りたく思ったんだ。
そして訪れてみた結果、
それがよくわかったよ。」
エルシーク・ホワイトリバー
「ヴェリカは
種族や生まれ、
生い立ちなどではなく
幸福になりたいと向かう
その想い………
その人間が強く抱く意志。
それを強く
支持する都市なんだと。」
エルシーク・ホワイトリバー
「それが顕著に表れているのが、
この適正試験なんだなと思った。
この適正試験を受ければ
その人間がどの程度の能力があり、
どの職に向いているか?を
数値的に判断してくれる。
もちろん、
数値じゃ判断できない事もあるけど
そこは
ヴェリカ司令官のサマエル様が
直々に英断を
下してくれるみたいだよ。」
エルシーク・ホワイトリバー
「能力のない者なら、
能力のない者なりに
出来る事があるし、
その役割は
能力のある者には
決して務まる事はない……」
エルシーク・ホワイトリバー
「そんな話。」
ロミナ・シルバーレイン
「なんだかステキね」
エルシーク・ホワイトリバー
「うん。
だから、
この僕が外界で………
この社会で、
一体何が出来て、
どの役割を担えるのか?
僕はそれを
知りたく思ったんだ。」
エルシーク・ホワイトリバー
「だから、
僕はヴェリカに行って
自分を試してくる。
ディバインエルフとして、
じゃなく………」
エルシーク・ホワイトリバー
「一人の男としてね。」
ロミナ・シルバーレイン
「…………へえ……」
エルシーク・ホワイトリバー
「…………なに?」
ロミナ・シルバーレイン
「………………」
ロミナ・シルバーレイン
「なんでもなーい!」
エルシーク・ホワイトリバー
「なになに?」
ロミナ・シルバーレイン
「しらなーい」
エルシーク・ホワイトリバー
「なんだっていうんだ……」
エルシーク・ホワイトリバー
「やあ、ロミナ久しぶり。」
ロミナ・シルバーレイン
「エルシーク!!
……ヴェリカの仕事、
うまくいってるってことで
いいのかしらー?」
エルシーク・ホワイトリバー
「まあね。
集会所事務員で
働く事になった。」
ロミナ・シルバーレイン
「集会所事務員、とは
また想像できない職ね……」
エルシーク・ホワイトリバー
「ハハッ
僕にしか務まらない仕事でね。
ディバインエルフとしての力が
人の役に立つって事を知ったよ」
ロミナ・シルバーレイン
「へえぇー………
ますます想像つかないわ……」
エルシーク・ホワイトリバー
「ロミナ。」
ロミナ・シルバーレイン
「なになに?」
エルシーク・ホワイトリバー
「今日、こうして来たのは
君に決断してほしくて来たんだ」
ロミナ・シルバーレイン
「えっ!?それって………」
僕は神様でもなんでもないから
本当の愛って
実はよくわからないけど
君を想う気持ちなら
君の喜ぶ顔が見たい
君と一緒に居たいっていう
そんな気持ちなら
誰にも負けないよ
だから………
ヴェリカで
君の実力を試してみないか?
ミーシャ・シルバーレイン
「おにーちゃん!
おきゃくさんだよー」
集会所事務員エルシーク
「あー……
営業時間終わってるのになあ…」
アスカ・エリーン
「ロミナがいるんだから
まかせとけばいいの!!」
集会所事務員エルシーク
「ま、そうしよっか」
集会所事務員エルシーク
「お客さんはロミナに任せるよー」
ミーシャ・シルバーレイン
「うん、わかったー!」
アスカ・エリーン
「ねえ!」
集会所事務員エルシーク
「……ん?なんだい?」
アスカ・エリーン
「わたしも
おにいちゃんってよんでいー?」
集会所事務員エルシーク
「ははは。
ああ、いいよ。」
アスカ・エリーン
「やったー!!
おにーちゃん!!」
集会所事務員エルシーク
「よしよし」
キャアアアアアアアアッ
集会所事務員エルシーク
「なんだ!?」
ダッ
集会所事務員エルシーク
「ロミナ!!!」
集会所事務員エルシーク
「ああ……なんてことだ……
ロミナ……!ううっ!!
こんなひどい………」
集会所事務員エルシーク
「待て!!貴様ァ!!!」
滅殺天衝!!
貫け聖なる光よ!!!
ディバイン
ブラストォーッ!!
キュゥゥウゥゥイィィーンッッ
ズドガガガガガガガッガッ
ドゴンッザシャアッッッ
アスカ・エリーン
「!?」
ヴァルキオン連合報酬担当官ロミナ
「………ハァッ………ゥッ…」
ミーシャ・シルバーレイン
「ママー……!
ママーー………!!」
集会所事務員エルシーク
「くそっ………
ロミナ……ロミナー!!」
アスカ・エリーン
「ミーシャ!!
なんで
まもらなかったの!?
ロミナのこどもでしょ!?
アンタのせいなんだから!
おかあさんのこと
まもれないなんて
アンタなんか
ロミナのこどもじゃない!」
ヴァルキオン連合報酬担当官ロミナ
「ハァ…………ハァ………
………ァ…………ァ………」
ミーシャ・シルバーレイン
「ママぁ………
わたしのせいなの?
ねえわたしのせいなのー!?
ママのこどもじゃないのー!?」
ミーシャ・シルバーレイン
「たすけて……
エルシークおにいちゃん……
たすけてー………」
集会所事務員エルシーク
「ミーシャ……
ロミナ……!
くそっ………!
僕はなんと
無力なんだ!!」
ヴァルキオン連合報酬担当官ロミナ
「ミー……シャ…………」
アスカ・エリーン
「ロミナ………おきて
……ねぇ……おきてよー…」
アスカ・エリーン
「…おきて…………
………おきて………」
ミーシャ・シルバーレイン
「……アー……アー…
………ァー……」
集会所事務員エルシーク
「おい貴様!!」
?アーマンの戦士
「んがはぁっ……
……なんだよ……」
集会所事務員エルシーク
「………貴様を今ここで
叩き殺してやりたいッッ!!
……だが貴様は
法のもとに裁いてもらう……
法に……貴様を任せるッ!!」
?アーマンの戦士
「…えっらそーに………」
集会所事務員エルシーク
「………だからなぜ
こんな事をしたのか
教えてくれないか!?」
集会所事務員エルシーク
「なぜッ!!!!」
?アーマンの戦士
「……ヨワそうなくせして
うっせ………ぇ……」
ドシャアッ
集会所事務員エルシーク
「おい起きろ!!」
集会所事務員エルシーク
「起きろォーーッ!!!」
集会所事務員エルシーク
「無罪放免だって!?
どういうことだそれはッ!?」
集会所管理人バイロン
「……ギレス・バタヒルの所業は
ヴェリカの都訓に
忠実な行動であったという事と、
その行動には理性的な
判断のつかない状況であり、
それに責任能力を問う事は
極めて難しい、とし
『責任能力』に問えず
法的に正式に無罪になった…
………ということだ。」
集会所事務員エルシーク
「ふざけるなッ!!
そんな事がッ!!
こんな事が許されていいのか!?
なあ!バイロン!!
こんな事がッッ……っ…!」
集会所事務員エルシーク
「うあああああっ………
ううああっ………ロミナ……」
ロミナアアアァァーーッッ!!
集会所事務員エルシーク
「ようやく会えたよ」
集会所事務員エルシーク
「ギレス・バタヒル」
ギレス・バタヒル
「なんだおまえは?
随分ヨワそうなヤツだな……」
集会所事務員エルシーク
「………………」
ギレス・バタヒル
「ア!思い出したぜぇ!!
不意打ちで
偶然勝っただけだってのに
偉そうに説教垂れやがった
あのヨワそーな
ハイエルフだな?」
ガゴンッ
ギレス・バタヒル
「……で、なんか用かよ?」
集会所事務員エルシーク
「その命………」
集会所事務員エルシーク
「……貰い受けに来た」
ギレス・バタヒル
「ハァ!?
バカじゃねーの?
ってかよー
魔法しか能がない
おまえらハイエルフに
この距離で
何ができんだ?ナァ?」
ギレス・バタヒル
「その肩
そぎ落としてやるぜぇ!!」
ギレス・バタヒル
「あの女のようになァーッ!」
グワアァッ
ギレス・バタヒル
「死ねや!!!!」
ガイイィンッ
集会所事務員エルシーク
「………………」
ギレス・バタヒル
「………!?」
集会所事務員エルシーク
「その他大勢のハイエルフは
そうだろうが……」
集会所事務員エルシーク
「生憎、量産型じゃないんでね」
ギレス・バタヒル
「クソッ!!」
ガイイィンッ
ガィィィンッッ
ギレス・バタヒル
「クソッ!!
クソッ!!!!」
ドガッィィィィンッ
ズガイイィィンッッ
ギレス・バタヒル
「なんだってんだ!?
その光ってる
わけわかんねーのは!?」
ディバインエルフ・エルシーク
「我こそは
ディバインエルフ!!
そして我が名は
エルシーク・ホワイトリバー!!」
ディバインエルフ・エルシーク
「我が最愛の
ロミナの魂の名誉のために!!
我が最愛の人の娘の
心のやすらぎのために………!」
ディバインエルフ・エルシーク
「この俺が貴様を
絶望の淵へ
ブチ込んでやる……!!」
ギレス・バタヒル
「……やめろ…っ!」
ギレス・バタヒル
「なぁ!!
オレは法で裁かれたんだ!!
あん時おまえ言ってたろ!?
殺してやりたいが
法の裁きに任せるってよ!!」
ギレス・バタヒル
「おい!?
違法な事
なんもしてねーだろ!?
無罪放免になっただろ!?
オレはなんも
悪い事してねーよ!!」
ギレス・バタヒル
「なっ??なっ????」
ディバインエルフ・エルシーク
「………………」
ディバインエルフ・エルシーク
「地獄でやってろ」
ギレス・バタヒル
「やめろ!!」
ディバインエルフ・エルシーク
「針串刺しの刑だッ!!!」
ギレス・バタヒル
「やめろおおォォーッ!!」
組成可塑瓦解!
ディバインブレイク!!
ドガアアッボムッ
ギレス・バタヒル
「武器がッッ!?」
ディバインエルフ・エルシーク
「くたばれ外道が!!!」
滅殺………!!
ジェノサイド
スプラァアアアアッシュ!!
ぐぶっぐぶあごぼっぶばっぶげぼっ
ゴズシャァアッッ
ギレス・バタヒル
「……ごぼっ…
…だ…ずげでぐれぇ…」
光の礫
この拳と宿し
魔を滅す聖鎚と成せ!!
ギレス・バタヒル
「ぐぶっ…ぐっげぼっ……
……ごめ……ん
…やめっでっぇ……」
ダンッッ
天聖拳!!
ディバィンストライクッ!!!
ギレス・バタヒル
「死にだぐ」
メキョッグシャァアッゴオォ
オオォォォォンンンッッッ………
ディバインエルフ・エルシーク
「ロミナ………」
(………シー…)
集会所事務員エルシーク
「?」
集会所事務員エルシーク
「ちょっと待って。
何か聞こえないか?」
集会所管理人バイロン
「いや、何も聞こえないが……」
集会所事務員エルシーク
「気のせいか………」
(……ルシー………)
集会所事務員エルシーク
「いや、やはり聞こえる……」
集会所管理人バイロン
「それはエルシークだから
聞こえるのかもしれんな。」
集会所事務員エルシーク
(ディバインエルフだから
聞こえるのか?)
集会所事務員エルシーク
(………………)
?春風のような声
(……エルシーク………)
集会所事務員エルシーク
「ロミナ!?」
集会所管理人バイロン
「何ッ!?」
集会所事務員エルシーク
「ロミナ!?
そこに居るのか!?」
ロミナ・シルバーレイン
(ここにいるよ………)
集会所事務員エルシーク
「あははっ………
ロミナ……………」
やっと会えた……
なあ、ロミナ
今度はちゃんと言葉にしようよ
僕の想いを
ちゃんと聞いて欲しいし
君の想いも
ちゃんと言葉で聞きたいから
僕は神様でもなんでもないから
奇跡なんて起こせないけど
君を想う気持ちなら
神様にだって負けない
君の事は何があっても守るから
永遠に、ここで君と共に
って男らしい言葉で
キメたかったんだけど
とりあえず、さ………
泣いてもいいかな……?はは…
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⇒使徒、侵入
ぽちっとしてくれたおかげで
1位にうあー
みなさんありがとなのです!