?威圧的な父親
「おはよう」
?内気な女の子
「おはようございます」
?威圧的な父親
「今日も店番頼むぞ
おまえ以外いないんだからな
少なくとも
これとこの袋のは全部売れ。
いいな?」
?内気な女の子
「はい」
?威圧的な父親
「行って来る」
?内気な女の子
「はい」
?客A
「果物欲しいんだけど
どんなのある?」
?内気な女の子
「あの、
今日はみかんとバナナが…」
?客A
「ふーん、
それじゃみかん2個」
?内気な女の子
「あ、はい」
?客A
「はい、ありがとう」
?内気な女の子
「ありがとうございました」
?威圧的な父親
「帰ったぞ」
?内気な女の子
「あ、おかえりなさい」
?威圧的な父親
「おい!ちょっと来い!
この袋すら
売り切ってないのは
どういうことだ!?
おまえ真面目に
仕事してたのか!?」
?内気な女の子
「え、う、してました!
ごめんなさい!!
もうしません!!
ごめんなさい!!」
?威圧的な父親
「この役立たずが!!」
?威圧的な父親
「ちょっとこっちへ来なさい…」
ドガッ
ドガッッ
?内気な女の子
「ごめんなさい!
ごめんなさい!!
ごめんなさい!!!」
?威圧的な父親
「今日も店番頼むぞ
これとこのカゴは売り切るんだ。
できなかったら………」
?威圧的な父親
「わかるな?」
?内気な女の子
「はい」
?威圧的な父親
「行って来る」
?内気な女の子
「はい」
?春風のような声
「あら、こんな所にも。
お店いっぱいあるのねー」
?元気な女の子
「いっぱいありゅー!」
?春風のような声
「失礼します。
ここにはどういった
売り物があるのでしょう?」
?内気な女の子
(…………きれいな人……)
?内気な女の子
(……こっちの子……
………うわぁ…
すっごいかわいい…)
?春風のような声
「……どうかしましたか?」
?内気な女の子
「あ、あ、ごめんなさい…
あの、
食べ物とか…器とか……」
?春風のような声
「ありがとう。
それじゃ、これとこれを……」
?内気な女の子
「あ、はい!」
?元気な女の子
「おいしそー!」
?内気な女の子
(……お人形さんみたい………)
?内気な女の子
「………あ!」
?春風のような声
「……このサボテン村……
思いのほかいいところねー
正直不安だったけど…」
?春風のような声
「………よかったかも。」
?元気な女の子
「うんー!」
?内気な女の子
(……あの、あの、
……どうやって声かけよ…)
?内気な女の子
(あ、行っちゃう………)
?内気な女の子
(…………あ……)
?内気な女の子
「………………」
?内気な女の子
(………仲良くなりたいな…)
?内気な女の子
(あ……あの子だ……)
?春風のような声
「今日は何にしよっかー」
?元気な女の子
「うんー!」
?内気な女の子
「あ、あの……」
?春風のような声
「………はい?」
?内気な女の子
「果物……
仕入れたばかりなので…
あの、すごくおいしい…です」
?春風のような声
「あらほんと?」
?春風のような声
「…あら、
これはほんと良いものねー
…しばらく持ちそうだし、
多めに買っていこうかしら。」
?元気な女の子
「やったー!」
?春風のような声
「そうねー……
…このカゴ1つ分くださる?」
?内気な女の子
「……あ!
あの、
ありがとうございます!」
?内気な女の子
「あの、それじゃ……
この器、かわいいし、
大小揃ってるので……
………特別におまけします。」
?春風のような声
「あらー
こんなにかわいいもの
どうもありがとう。」
?春風のような声
「よかったわね?ミーシャ?」
ミーシャ・シルバーレイン
「おねえちゃんありがとー!」
?内気な女の子
「う、うん!
また、きてね!!」
?春風のような声
「ふふっ
あなた商売上手なのね?
感心するわ………
ヒューマン換算で
まだミーシャより
少し上ぐらいなのに
露店商だなんて。
大変でしょうに……」
?内気な女の子
「い、いえ………
私なんかそんな………」
?春風のような声
「ふふっ」
?春風のような声
「………自信……
持って、ね?」
?内気な女の子
「あ、はい!」
?内気な女の子
(ハイエルフって
審判の代行者とか
無慈悲な神の化身
とか言われてて
怖いって聞いてたけど……
今まで会った
どんな人より優しくて
気品溢れてて………)
?内気な女の子
(私のお母さんも
あんなお母さんだったら………)
?内気な女の子
「あの、
ミーシャちゃん……だよね?」
ミーシャ・シルバーレイン
「うんー!」
?内気な女の子
「……おぼえてる?」
ミーシャ・シルバーレイン
「わかんないー!」
?内気な女の子
(がっくし………)
?内気な女の子
「えっと、
お店の人なんだけど……」
ミーシャ・シルバーレイン
「そうなんだー!」
?内気な女の子
「……あの、それじゃ、また!」
ミーシャ・シルバーレイン
「うんー!」
?内気な女の子
「あ、ミーシャちゃん!
今日も元気…だね!」
ミーシャ・シルバーレイン
「うんー」
?内気な女の子
「ミーシャちゃんこんにちは!
ほんっと
お人形さんみたいでかわいいー」
ミーシャ・シルバーレイン
「えへへー」
?内気な女の子
「ミーシャちゃんこんにちはー!
みかんあるから一緒に食べよ?」
ミーシャ・シルバーレイン
「ありがとー」
?威圧的な父親
「……最近ほとんど売ってないが
これはどういうことだ!?」
?内気な女の子
「ごめんなさい!」
?威圧的な父親
「この袋2つ!
少なくとも1つ分は売り切れと
あれほど言ってあるだろう!」
?内気な女の子
「ごめんなさい!
ごめんなさい!!」
?威圧的な父親
「まったく役立たずだな!
誰が育ててやってると思っている!」
ドガァッ
?内気な女の子
「ごめんなさい!
ごめんなさい!!
ごめんなさい!!!」
?内気な女の子
「ミーシャちゃんこんにちは!
いい天気だね!」
ミーシャ・シルバーレイン
「うんー」
ミーシャ・シルバーレイン
「おねーちゃん
けがしてるのー?」
?内気な女の子
「うん、そうなんだー……」
ミーシャ・シルバーレイン
「いたそう……だいじょうぶ?」
?内気な女の子
「……うん、大丈夫」
ミーシャ・シルバーレイン
「いたいのいたいのー
とんでけー」
?内気な女の子
「ミーシャちゃん……」
ミーシャ・シルバーレイン
「これでだいじょぶ!」
ギュッ
?内気な女の子
「ミーシャちゃん大好き……」
?内気な女の子
(戻らないと………)
?内気な女の子
「あっ……」
?威圧的な父親
「………………」
?威圧的な父親
「ちょっとこっちへ来なさい…」
?威圧的な父親
「アイシス!!
おまえは店番ほったらかして
一体どこ行ってたんだ!!」
バゴンッ
アイシス・レンダル
「ぐぶっ!!」
?威圧的な父親
「まったく!
おまえの母親は
とんだズベ公だった!
仕事も使い物にならず
日々俺の金をアテにし
挙句、
男作って
出て行きやがった!」
ドゴォッ
アイシス・レンダル
「はぐっ!?」
?威圧的な父親
「あの
クソビッチと同じだな!」
ドガァッ
アイシス・レンダル
「ふぐっ!」
?威圧的な父親
「そっくりだおまえは!!」
ズゴンッッ
アイシス・レンダル
「っぐああっ!!」
ミーシャ・シルバーレイン
「おねーちゃん?」
アイシス・レンダル
「…………あっ…」
ミーシャ・シルバーレイン
「どうしたのー?」
アイシス・レンダル
「…………」
ミーシャ・シルバーレイン
「?」
アイシス・レンダル
「………ううっ」
アイシス・レンダル
「………ううっひぐっ…」
ミーシャ・シルバーレイン
「おねーちゃん?」
バッ
アイシス・レンダル
「うええんっうえええんっ」
ギュウッ
ミーシャ・シルバーレイン
「おねーちゃんー……」
ミーシャ・シルバーレイン
「よちよち」
アイシス・レンダル
「……ミーシャちゃん…………」
ぎゅうっ
アイシス・レンダル
「ミーシャちゃん大好き……」
アイシス・レンダル
(……いつも
ここに居るのになあ)
アイシス・レンダル
(どうしたんだろ……)
アイシス・レンダル
(あ、そろそろ戻らないと……)
アイシス・レンダル
「あ、いらっしゃいませ」
?ハイエルフの客
「このバナナおいしそう…
これ2房もらえる?」
アイシス・レンダル
「あ、はい。
ありがとうございます」
?ハイエルフの客
「どうもありがとう」
アイシス・レンダル
(ハイエルフかあ……
ほんっときれい……)
アイシス・レンダル
「あ、あの!」
?ハイエルフの客
「……はい?」
アイシス・レンダル
「あの、
ハイエルフの親子が
よくこの店来てたんですけど
しばらく見ないので………
何か知ってますか?」
?ハイエルフの客
「…………………」
?ハイエルフの客
「……子供の名前、
教えてくださるかしら?」
アイシス・レンダル
「子供の名前はミーシャです」
?ハイエルフの客
「…その親子なら、
ちょっと前に引っ越しましたよ?」
アイシス・レンダル
「………………」
アイシス・レンダル
「ええええええっ!?」
どうして!?」
?ハイエルフの客
「……なんでも、
ここでトラブルがあったとか…」
アイシス・レンダル
「えっ!?
一体何があったんですか!?」
?ハイエルフの客
「………………」
?ハイエルフの客
「えっと……そこまでは………」
アイシス・レンダル
「……そんな…………」
?ハイエルフの客
「……あ、それではー」
アイシス・レンダル
「あ、はい…
ありがとうございました……」
アイシス・レンダル
「引っ越した……って………
そんな…………っ」
アイシス・レンダル
(あんなに仲良くしてたのに
なんで黙って行っちゃったの!?
ミーシャちゃん………)
アイシス・レンダル
「ミーシャちゃん…………」
?威圧的な父親
「またおまえは!!」
アイシス・レンダル
「くふぁっ!!」
?威圧的な父親
「ふざけやがって!!」
アイシス・レンダル
「ぐうっ!!」
?威圧的な父親
「あの女そっくりだな!!」
アイシス・レンダル
「きゃうっ!?!」
アイシス・レンダル
(イタタタッ………)
アイシス・レンダル
(ミーシャちゃん………)
ミーシャ・シルバーレイン
「おねーちゃんー……」
ミーシャ・シルバーレイン
「よちよち」
アイシス・レンダル
(あれから何年かな………)
?キャスタニックの神官
「ちょいといいかい?」
アイシス・レンダル
「あ、いらっしゃいませ…」
?キャスタニックの神官
「あー、別に
買い物しにきたんじゃないんだ。
ただ、さ………」
アイシス・レンダル
「あ、はい……?」
?キャスタニックの神官
「昨日の君の家、
騒々しかったので
覗かせてもらったんだけどね」
アイシス・レンダル
「!!」
?キャスタニックの神官
「………………」
アイシス・レンダル
「………………」
?キャスタニックの神官
「……安心して。
別にどっかに報告したり
問題にしようって
わけじゃないから。」
アイシス・レンダル
「…………はい……」
?キャスタニックの神官
「でもさ、
あんな家にいつまでも
居る必要ないと思うけどなー」
?キャスタニックの神官
「あんな家、
出ちまいなよ」
アイシス・レンダル
「えっ!?」
アイシス・レンダル
「でも……
私なんかがそんな事
できるわけないです………」
?キャスタニックの神官
「ヴェリカって知ってる?」
アイシス・レンダル
「ヴェリカ……?
名前だけは………
大きな都市と聞いてます」
?キャスタニックの神官
「そこで適正試験受けてみた事は?」
アイシス・レンダル
「……いえ、よくわからないです」
?キャスタニックの神官
「んじゃー、受けてみなよ!」
アイシス・レンダル
「えっ……
でもよくわからないし………」
?キャスタニックの神官
「私がキャスタニックだから、
世間知らずの村娘を騙して
どっか怖いところ
連れてくんじゃないかー?って
そーんな心配してる顔だねー?」
アイシス・レンダル
「えっ……
そんなことは………」
?キャスタニックの神官
「あはは!
わっかりやすい子ー!
えっとね、
輸送任務でちょいと出先で
ここにいるってわけなんだけど、
今からヴェリカに
物資を輸送しに戻るところなんだ。
よかったら連れてってもいいよ?
その後ここに送ってやるからさ」
?キャスタニックの神官
「まー、
もし君がその気なら………」
?キャスタニックの神官
「ヴェリカの住居
貸してやってもいいけどね?」
?キャスタニックの神官
「ま、私と
共同生活になるけどー
アハハッ」
アイシス・レンダル
「………………」
?キャスタニックの神官
「どうする?
適正試験は実質数時間、
その結果は翌日出る。」
?キャスタニックの神官
「人間、
どんな能力あるかわからないし、
どの能力が良いか悪いかだなんて
そんなのわかりっこないってわけさ。
その能力がどこで活かされるか、
どんな価値があるかーってのも、
こーんなちっこい村で
細々と暮らしてるだけじゃ、
わかんないってもんさ!!」
?キャスタニックの神官
「……ましてや、
こーんな誰でも出来るような
店番程度の事で
人間の価値や能力だなんて
決まるわけはない。」
アイシス・レンダル
「………………」
?キャスタニックの神官
「………人間はこんなんで
決まるわきゃないんだよ……」
?キャスタニックの神官
「………アイシス。」
アイシス・レンダル
「………キャスタニックさん……」
冒険者ライナスティナ
「…あっと、申し遅れたね。
私の名前はライナスティナ。
今はヴェリカで
輸送任務の随伴兵をやっている。
この大層な服は正装ってやつ。
元は魔法技術教官やってたけど
荒稼ぎする為に
ヴェリカに出てきたっていう
ヴェリカ目的の旅人の典型さ。」
冒険者ライナスティナ
「はい、これが身分証。
現在、
AからDある輸送等級のうち、
私は
領間までの輸送を扱える
B級輸送者ってやつ。
結構凄いんだぞー?」
アイシス・レンダル
「領間を輸送するの……?
すごいね……!!」
冒険者ライナスティナ
「だろっ!!
種族、生まれ、生い立ちに関わらず
誰もが幸福と大金を得る資格があり、
それを叶える為の仕組みが
備わってる希望の都市なんだよ。」
冒険者ライナスティナ
「このヴェリカってトコは……」
アイシス・レンダル
「でも……
私なんか………」
冒険者ライナスティナ
「………………」
冒険者ライナスティナ
「………アイシス。」
冒険者ライナスティナ
「本気で人生、
変えてみる気はないか?」
アイシス・レンダル
「えっ……」
アイシス・レンダル
「………………」
変えてみたい………
NEXT
⇒鳴らない、電話
ぽちっとしてくれたおかげで
1位にうあー
みなさんありがとなのです!