集会所管理人バイロン
「…そうだ。
この時期をもってして
この集会所においての
各々の点となる想い、因果……
アスミンは、
もしかしたらそれを結びつけ
線と織り成し
我々の悲願という衣を
繕い叶えてくれるのでは…と、
そんな存在のように
思えてならなかったのだ。」
集会所管理人バイロン
「れんこんすこんぶは
まったく見当もつかないが……
だが、
そのすべては
成るべくして成り、
運命の未来へと集約していく…」
集会所管理人バイロン
「そういう事なのではないか?と
ワシはそう確信しておるよ。」
青銅印章交換担当官ショリン
「なるほど………」
青銅印章交換担当官ショリン
「貴方の根拠、把握致しました。」
青銅印章交換担当官ショリン
「……ミーシャは、
ずっとこのままなのですか?」
集会所管理人バイロン
「大丈夫だ。
朝になる頃には
いつものミーシャになって
変わらず出勤してくるだろう。」
白銀印章交換担当官セブリル
「よかった……」
青銅印章交換担当官ショリン
「……今までも
何度かあったのですか?」
集会所管理人バイロン
「………これで6度目だ。」
青銅印章交換担当官ショリン
「6度…………」
集会所管理人バイロン
「……時を遡ろう。
まだミーシャが
退院していない頃の話だ。
それ以前より
アイシスは既にここに居たな。
ロミナとミーシャが
ヴェリカに移り住む以前の街で
仲良しだったという話は聞いていた」
集会所管理人バイロン
「アイシスの時は
そんな偶然もあるものなのだな、と
そう思っていただけだったが…」
集会所管理人バイロン
「それから数年後、
ミーシャが退院する事になる。
共に歓迎会を開き、
ミーシャの退院を祝したものだ。
その時から、
何か言い知れぬ疑問が湧いてきた。
……ふつふつと、な。」
集会所管理人バイロン
「それからしばらく経ち、
ミーシャが集会所勤務を希望する。
不安で仕方なかったが、
アイシスも居る事だし、
大丈夫かと思う事にした。」
黄金印章交換担当官アイシス
「………………」
集会所管理人バイロン
「つつがなく過ぎてゆく日々。
ミーシャはあの頃のままとは
おくびにも言えないものの……
しかし、
ミーシャが再び戻ってきてくれた事。
ミーシャがこうして元気でいる事。
こうして治ったミーシャに
安心していたのはあったな。」
集会所管理人バイロン
「疑問など気にも留めぬようになり
考えぬようになったある日の事。
本部の受付で
依頼された案件が目に留まった。」
集会所管理人バイロン
「その報酬が
エルヴンワッフルだったからだ。」
青銅印章交換担当官ショリン
「………………」
集会所管理人バイロン
「…過去、この集会所で
ロミナが振舞っていた
このエルヴンワッフル。
あの時からずっとそこに居るロミナ。
ミーシャも喜ぶかもしれない、
ロミナも喜ぶかもしれない。
そう思い、ワシとエルシーク、
アイシスも含む4人で
集会所の勤務が終わった後に
ここで一緒に食べたのだ。」
集会所管理人バイロン
「すると、
ミーシャが取り乱し始めてな……
ワシは何が起こったのかわからず
うろたえるしかなかった。
…その時わかったよ。
治ったのではなく、
それを呼び起こさせないように
フタをしただけなのだ、という事にな」
集会所事務員エルシーク
「………………」
集会所管理人バイロン
「それが一度目だ。
ワシら3人がうずくまり
動けなくなるほどの強烈な思念波。
エルシークがその力で少しづつ収め、
なんとかやり過ごしたものの、
次も同様にやり過ごせるかは
正直自信はなかった。
それからは、
ロミナに関する想い出に
触れさせないようにしようと考え、
しばらくは特に何もなく過ごせた。」
集会所管理人バイロン
「……二回目は、
サラミアがこの集会所へ来た時だ。
新たな新人の歓迎をと思い
ごま蜜団子を振舞ったな。
そして簡単な挨拶を済ませ、
サラミアが
ミーシャの名前を呼んだ時…」
集会所管理人バイロン
「ミーシャがあのように取り乱し、
最も近くに居たアイシスの心を
こじあけ壊そうとした。
ワシはやはり
ただうろたえるしかなかったよ…
そこへ
サラミアが何らかの力を発動させ
ミーシャはこのように鎮まった。」
白金印章交換担当官ミーシャ
「アー……アー…………」
集会所管理人バイロン
「最初は誰かわからなかったが、
サラミアの話から、
過去このヴェリカ集会所で
遊んだ事のあることも知った。
…それからなぜ
そのような能力を有しているかもな 」
集会所事務員サラミア
「…………うん
すごくびっくりした。
まさかまた会えるなんて……」
集会所管理人バイロン
「一度は忘れていたことを
今一度思い起こさせられたよ。」
集会所管理人バイロン
「この集会所には…
何かが起こり始めている……と。 」
集会所事務員エルシーク
「………………」
集会所管理人バイロン
「一晩休んだミーシャは、
特に何の異常もなく
普通に通勤してきた。
サラミアを見ても
特に異常な反応する事もなくな。」
集会所管理人バイロン
「ある日、
依頼を受けに来た者の中に
子連れで来ている者がいた。
その子供は
エルヴンワッフルを食べながらで
ミーシャに話しかけ、
ミーシャはエルヴンワッフルを
おいしそうね、と一言言う。」
集会所管理人バイロン
「その子供は、
お姉ちゃんにあげるーと一個
ミーシャに手渡した。
ワシはハッとした。
前のような事があっては……と。
しかし、
ミーシャは特に何の異常もなく
エルヴンワッフルをおいしいと食べ
子供に感謝をし、
通常通りの業務に戻ったのである。」
集会所管理人バイロン
「そこでエルシークは
ひとつの可能性を見たのだな?」
集会所事務員エルシーク
「そうだね。
おそらくミーシャは、
精神療養施設にて
幾重にも心にフタをするように
そう施術されたんだと思う。」
集会所事務員エルシーク
「その過去の記憶に触れる事に
一度は発作を起こすけど
以降はそれに何も思わなくなる。
と同時に、
それに対して抱いていた
特別な感情もなくなる。
ただし、
過去のいろんな情報を得て
触発されている状態だと
その限りではないけどね……」
集会所事務員エルシーク
「心の壁……
ミーシャは、
その心の壁を作り出して
幾重にも張り巡らさないと
正常な精神を
保てなくなってしまったんだ。
見た目は普通で、
会話も普通にできるけど、
本当の自分は
何重もの心の壁で閉ざされている。」
集会所事務員エルシーク
「ロミナもこの現状を見て
とても悲しんでいたよ…」
集会所事務員サラミア
「………………」
集会所事務員エルシーク
「……でもね。
この現状はきっと何かで
解決できるはずなんだ。
力の暴走…
精神の不安定さ……
これは、
成人の儀を成さないまま在る
ハイエルフの症状 に非常に似てる。」
集会所事務員エルシーク
「もしかしたら、
この成人の儀………
ココロの絆を誰かとかわし、
それを確信する事ができれば
ミーシャは、
自分やその過去に負けない強さを
手に入れられるのでは、ってね。」
集会所事務員エルシーク
「きっと………
誰かに施しを受けてでは
きっとダメなんだと思うよ。
…それで解決するんだったら
既に療養施設で解決してるはず…」
集会所事務員エルシーク
「その為の助力になら
いくらでも力になっていいと思う。
自らの力で克服する事……
それには、過去から縁のある
我々にしか出来ない事なんだ。」
集会所事務員エルシーク
「……きっと、ね。」
集会所管理人バイロン
「だから、
我々は我々にしかできない事で
ミーシャを元に戻そうと、
そう考えたのだ」
集会所管理人バイロン
「我々は仲間なんだと。
我々はミーシャを
これほどまでに大事に思っていると。
あの雰囲気、
ロミナも喜んでおるようでな。
おそらく、
ロミナが喜ぶ事が
正解なのではないかと。」
集会所管理人バイロン
「そうして3度目は、
ワシとエルシークが
集会所の営業時間より早く来て
あの事件について話していた時だ。」
集会所管理人バイロン
「ごま蜜団子を食べながら
ロミナがギレスに殺された……
そのあたりの話をしてた頃だな。
突然、
どこかで叫び声が聞こえたのだ。」
集会所管理人バイロン
「…早めに出勤してきたミーシャは
その話を聞いてしまったようだ…
その場はなんとか耐え続け、
エルシークが多少抑えたものの、
サラミアが出勤するまで
なんとか耐え続けるので
精一杯だったよ……」
集会所管理人バイロン
「それからだな。
あの事件に関する事や、
ミーシャに対しての対策、
これからの傾向の話をするのは
会議チャットで、としたのは。」
集会所管理人バイロン
「それから一度、
この集会所に訪れる旅人の二人が
ここで起きた惨状の噂を
ミーシャと話した事があった。
ワシはミーシャの状態を心配したが
その話もミーシャには特に問題なく
普通に話しておったよ。
無論、
よくわからないと返しておったが。」
白銀印章交換担当官セブリル
「フタ、か………」
集会所管理人バイロン
「それから2度、
元に戻す方法として
万全の準備をした上で臨んだ。
より強い絆を持った中で、
昔の事を思い起こさせれば
いずれ解決するのではないか、と。」
集会所管理人バイロン
「それと、何の偶然か
ごま蜜団子を食べている時に
ミーシャが
発作を起こす要因が発生するのも
我々は忘れてはならないと思った。
それからだな。
この件でミーシャを救おうと
行動を起こそうと決める時は
必ずごま蜜団子を振舞おう、と
そう思ったのは……」
集会所管理人バイロン
「ま、ごま蜜団子は…
直接的には、
関係しないとは思ってるがね。
儀式のようなものだ。」
集会所管理人バイロン
「……しかし………
何がいけないのだろうか……」
集会所事務員エルシーク
「…良い方向には行ってると思う。
でもね……きっと、
何かが足りないんだ。」
集会所事務員エルシーク
「ロミナはその何かを
知っているような気がする。
……教えてくれないけど。」
集会所事務員エルシーク
「ミーシャがあまり
このノリを受け入れてないのが
原因なのかな………」
集会所管理人バイロン
「うーむ………」
白銀印章交換担当官セブリル
「うーん
でもミーシャも
ノリノリだったじゃん? 」
集会所事務員エルシーク
「そうだね。
好きだとは思うよ。
これも
心の壁が原因だと判断してる。
拒絶してるんだ。
このノリがもたらす何かは
ミーシャの本当に求める
何かではないって事かもしれない。」
集会所事務員エルシーク
「そしてそれを
ロミナは知っている………」
白金印章交換担当官ミーシャ
「アー……アー………
アー……………」
集会所事務員サラミア
「………………」
集会所事務員サラミア
「……どこか、いびつなのかも」
黄金印章交換担当官アイシス
「………………」
集会所事務員エルシーク
「……なるほど」
集会所管理人バイロン
「………………」
白銀印章交換担当官セブリル
「……話ぶったぎるけどさー」
白銀印章交換担当官セブリル
「……オレって、
なんか関係あるのかな……?
ここに居る人
みんな知らなかったし……
そんな事件知らなかったし……
集会所で遊んだこともないし
エルヴンワッフルも初めてで…」
集会所事務員サラミア
「………………」
集会所事務員エルシーク
「………………」
白銀印章交換担当官セブリル
「あ、オレは
本部の人間でも
なんでもないぜ!?
信じてくれよ!?
あんなお堅い仕事
できないってわかるだろ!?」
集会所事務員エルシーク
「大丈夫。
それはわかってるから。
安心して。セブリル。」
白銀印章交換担当官セブリル
「ありがとー!!」
青銅印章交換担当官ショリン
「…言うなれば、私もですね
何か関係しているとは
到底思えません。」
黄金印章交換担当官アイシス
「………………」
集会所管理人イアフ
「………………」
集会所管理人バイロン
「………うむ。
ショリンとセブリルは、
以前に行われた5度目。
それ以降にここに来た者だ。」
集会所管理人バイロン
「ショリンにいたっては、
このヴェリカ集会所の運営が
不穏な動きを見せているのを察し
本部より内偵を行う為に
差し向けられた者……
それで違いないな?」
青銅印章交換担当官ショリン
「そうですね。」
白銀印章交換担当官セブリル
「随分潔いんだな」
青銅印章交換担当官ショリン
「今更ごまかしても
仕方ないでしょう。」
白銀印章交換担当官セブリル
「ま、確かに。」
集会所管理人バイロン
「ショリンが
ここに来る事になったのは
何かしらの関係があるはずだ。
ショリンが来た事によって、
この集会所のノリに
一つのスパイスを与える事となり
深みが増したのは違いないだろう。」
集会所管理人バイロン
「本部のデータベースを用いて
あらゆる件と参照し
その真偽を確していく。
その多くの情報を
記憶し提供していた経歴。
バラカ以外の種族が
あれだけの膨大な情報量を
記憶していくのは
並大抵の事ではない。
それ以外の様々な知識も
その頭脳あってのものなのだな。
恐れ入るよ。」
青銅印章交換担当官ショリン
「お誉めに預かり光栄です。バイロン」
白銀印章交換担当官セブリル
「オレはー?」
集会所管理人バイロン
「セブリルはここに来て
会議チャットに参加してから
いつも最低1度は肉声で返していたな。
…それが原因で
今回このような事となったが…… 」
白銀印章交換担当官セブリル
「ごめん……」
集会所管理人バイロン
「……すまぬ。
責めているわけではないのだ。
セブリルも同様に、
以前に担当していた者が退職してから
求職し、ここに就く事となった。
必ず、
この件に関係があるはずなのだ。」
集会所管理人バイロン
「チャット内での会話を
つい肉声で発してしまうその癖。
おそらくそれは
この集会所に必要なのだと
そう判断しておるよ。」
集会所管理人バイロン
「だからと言って、
遠慮なく肉声でされては
それは違うからな。
だから
きつく言い聞かせていたのだ。
何でもありな混沌と
自由とは違うからな。
混沌の中においては
何も善いものは作られまい」
白銀印章交換担当官セブリル
「わかった!
気をつける!」
集会所管理人バイロン
「うむ!」
集会所事務員エルシーク
「…さて、
そろそろいい時間だね。
集会所管理人バイロン
「……今日のところは
これで終わりとするか。」
白銀印章交換担当官セブリル
「あちょっとまって!」
白銀印章交換担当官セブリル
「そのケモノは
どんな関係あんの?」
集会所事務員エルシーク
「………………」
黄金印章交換担当官アイシス
「………………」
青銅印章交換担当官ショリン
「……そこのポポリの話を
まだ聞いてないわね。」
集会所事務員サラミア
「………………」
集会所管理人バイロン
「………………」
集会所管理人バイロン
「イアフ。
おまえのことだぞ」
集会所管理人イアフ
「どっひゃー!?
オイラの事だったのかーい!?」
白銀印章交換担当官セブリル
「ケモノっつったら
おまえ以外いないだろ………」
青銅印章交換担当官ショリン
「ポポリって自分らの事は
ハイエルフ並に美しくて
カッコイイって思ってるみたいよ…」
黄金印章交換担当官アイシス
「何の冗談よそれ……」
集会所管理人イアフ
「ぽっぽー」
集会所管理人イアフ
「オイラはここで
よく遊んだ事があるのさ!
その時ロミナに
よくお世話になったんだよー
だから、
ここで働くことになったのも
きっと運命だったのさー!」
白銀印章交換担当官セブリル
「そっかー
いろんな想いが集まってんだなー」
集会所事務員エルシーク
「………………」
集会所管理人バイロン
「さて、話は以上でいいか?
そろそろミーシャを休ませたい。」
集会所事務員エルシーク
「そうしよう。バイロン。」
集会所管理人バイロン
「ミーシャの自宅へ送り届けよう。」
集会所事務員エルシーク
「そうしようか。
皆さんお疲れ様。」
白銀印章交換担当官セブリル
「あ、オレも行くよ!」
黄金印章交換担当官アイシス
「みんなで行きましょう!」
集会所事務員サラミア
「……うん」
青銅印章交換担当官ショリン
「同伴致します。」
NEXT
⇒アスミンとドンと構えるのです~
ぽちっとしてくれたおかげで
2位にうあー
みなさんありがとなのです!